アスベスト事前調査に必要な資格とは?有資格者による石綿事前調査の義務化についても解説

公開日:2025/02/17
アスベスト事前調査に必要な資格とは?有資格者による石綿事前調査の義務化についても解説

アスベスト成分がある建材を使った建築物では、工事する前に調べます。事前調査は、発注者から受け取った書面情報と現場で調査する方法があり、建物の着工日によっては両方実施するのです。アスベストは別名石綿とも呼ばれ、現在は使われていません。建材の調査は、石綿に関係する資格が原則必須です。指定された講習を受講しテストに合格すれば取得可能です。しかし、受講するには一定の条件を満たす必要があります。そこで、今回は、アスベスト事前調査に必要な資格とは?有資格者による石綿事前調査の義務化についても解説を紹介します。ぜひ参考にしてください。

アスベスト事前調査とは

調査の目的は、建材に石綿成分があるのか判定し、必要な対策を講じることです。事前調査は、作業員が建材に手を加える前に済ませます。

石綿の成分は、作業によって周囲に拡散する危険があり、拡散した石綿成分は作業員の健康に影響を与えるため、注意が必要です。

従業員の健康を守るためにも、工事前の調査は重要といえるでしょう。また、石綿成分を含んでいる危険性があるなら、工事規模は関係なく調べます。

調査方法

業者は、お客様から建築物の資料を提供してもらい、調べます。書面での調査は、設計図書から建築材料・使用箇所・施工した年月日を確認するのです。工事を開始した日付の確認に利用できる書類には、登記事項証明書・建築確認済証・検査済証があります

工事の着工日が、平成18年9月1日以降なら、石綿成分はなしと判定するのです。

ただし、登記事項証明書に着工日は明記されていません。そのため、建築年月をさかのぼって、平成18年9月1日以降に建てられたと断定できるなら、アスベストなしとして扱います。

施工年月日が平成18年9月1日より前なら、現地に出向き、目視による調査の実施が必須で、設計図書と違いがないか情報をすり合わせるのです。書面と現場調査で内容に違いがあるなら、現場で得られた情報を優先します

データベースを活用して判断する方法も併用します。国土交通省と経済産業省が管理している石綿を含んだ建材の専用データベースにアクセスし、建材・商品名を入力すれば利用可能です。検索リストにヒットした建材には、石綿成分があります。

設計図書に建材の名前が残っているなら、メーカーに問い合わせる方法も有効です。

データベース検索やメーカー問い合わせができないときは、石綿成分があるとみなしたり、建材を調べて有無を確定したりします。

みなし・石綿ありなら、飛散を抑える対策が必要です。

事前調査が不要な場合

石綿を工事前に調べる工程は、原則必要です。ただし、条件を満たすと不要になるケースもあります。極めて軽微な作業なら、石綿の含有調査はいりません。

石綿がないと明確にわかる材料で、周囲の素材を損傷させない作業も、事前に調べなくてよいと決められています。

石綿がないと断定できる材料は、木材・金属・ガラスだけで作られたものや、畳・電球などが該当します。取り付け金具の取り外しは注意の素材を損傷させる恐れがありません。

また、釘を引き抜いたり、打ち込んだりする作業は、とても小さな損傷しか発生せず、作業前の調査が不要です。外壁塗装といった、材料を追加するだけの作業も調べる工程はいりません。

そのほか、国交省に石綿成分がないと認められている工作物の回収解体工事も調査が不要です。

石綿に関係する調査は必須ですが、特定の条件では免除されることもあります

アスベスト分析と方法

アスベスト分析は、保存されている書面の情報と目視調査の結果から、建材に石綿の成分がないと断定できないときに実施する方法です。

令和5年から、石綿の分析作業にも資格が必要になりました。他の会社に分析を依頼するときは、作業する人が資格を所持しているのか調べておきましょう。

規制値が決められており、100gの建材の中に0.1g以上存在するなら、石綿を含んだ建材として扱うのです。

また、分析方法は2種類あり、石綿成分の有無を調べる定性分析と濃度を調べる定量分析に分けられます。

解体工事では、作業対象の材料に石綿を含んでいるのかわかればよく、濃度分析は必須ではありません。

ただし、定常分析で可能な層別分析を実施すれば、どの部分に石綿成分があるのか特定できるため、除去工事の費用を削減できる場合もあります。

アスベスト分析は、令和5年から義務になっており、担当する場合は資格が必要です。外注する場合も、担当者が資格を持っているのか調べておく必要があります

事前調査に必要な資格

建築物の改修・解体工事を始める前に実施する石綿成分の調査には、専門の資格が必要です。令和5年10月1日から、資格を持つ人による作業前の調査が義務化されました。

有資格者とは、石綿含有建材調査者または、令和5年9月30日より前の日付で日本アスベスト調査診断協会へ登録済みかつ、石綿成分を調査するときも登録が継続していれば該当します。

また、建材の石綿成分を調査する資格は、3つの区分に分かれており調査できる範囲が決まっているため、注意が必要です。

特定建築物石綿含有建材調査者と一般建築物石綿含有建材調査者は住宅・店舗・工場すべての建築物が対象になります。一戸建て等石綿含有建材調査者は、一戸建て・共同住宅の内部のみが調査範囲で、ベランダ廊下など共同部分は含まれません。

日本アスベスト調査診断協会に登録している人も、特定建築物石綿含有調査者と同じように全ての建築物が捜査できます。

受講する条件と区分

石綿含有建材調査者は、講習を受講して取得します。受講するには、一定水準の学歴と実務経験を証明する必要があり、誰でも受けられるものではありません。

建築系の大学を卒業した場合実務経験は2年以上が必須になります。短期大学・高等専門学校の場合は実務経験が4年以上、3年制大学なら実務経験は3年以上必要です。

高校卒業した場合7年以上の実務経験がないと受講できません。建築に関係する学歴を持たない場合11年以上が条件になります。

対象となる学歴年数が多くなれば、必要となる経験年数は減るのです。

また、取得する資格によって受けるべき講習内容が変わるため、注意しましょう。

一般建築物石綿含有建材調査者と一戸建て等石綿含有建材調査者は、講習を受けた後に筆記試験で一定の成績を修めれば取得可能です。

特定建築物石綿含有建材調査者を取得する場合、一般建築物石綿含有建材調査者の講習のほか、実地研修や口述試験が追加されます。

実務経験がない場合

石綿を含んだ建材の作業で必要な石綿作業主任者を取得すると、実務経験を問わず石綿含有建材調査者になるための講習が受けられます。

石綿作業主任者は誰でも講習を受講し、筆記試験に合格すれば取得が可能です。

石綿含有建材調査講座は、石綿作業主任者を取得した後、講習主催団体へ証明できるものを提出すれば受講可能です。

なお、石綿作業主任者の資格だけでは、工事前の調査はできません。

資格が不要な場合

書面調査で、建物の工事が開始された日が平成18年9月1日より後と記載されているなら、資格が不要になります。

平成18年9月1日から、石綿の使用や輸出が禁止されました。そのため、この日以降に工事が始まった建築物には、石綿成分がないと判断できます

年数があまり経過していない建物は、工事を開始した日付が石綿の使用が禁止になった日以降だと確認できれば、専門家による目視の調査を実施する義務はありません。

まとめ

アスベスト事前調査とは、安全を確保するために行う工程です。建材に石綿成分があるのか判定します。成分が含まれているなら、対策が必要です。発注者から建築物の情報を提供してもらい、着工した日付が平成18年9月1日以降なら、石綿はなしと判定され、作業しても有害物質が飛散しません。この日以前に工事が始まったなら、現地調査して渡された書面と情報のずれがないか精査し、以降の工程を決定するのです。建材の情報が入手できたら、専用のデータベースや関係メーカーに問い合わせて調べる方法も使います。建築物の石綿に関する事前調査は、専門の資格を取得した人が実施する作業です。令和5年10月1日から義務になっており、それより前の調査でも、資格を持つ人が担当するよう勧めています。石綿含有建材調査者は、講習を受けテストで一定の成績を修めれば取得できます。講習を受けるには建築に関する学歴と実務経験が必要です。ただし、石綿作業主任者だけは実務経験がなくても受講が可能です。筆記試験で一定の成績を修めれば誰でも取得できます。また、石綿含有建築調査者には3つの区分があり、受ける講習も異なるため、事前に調べておきましょう。

 

愛知県のアスベスト調査・分析業者比較表

イメージ
引用元:https://kankyoukougai.jp/description/asbestos/

引用元:http://www.cosmokankyoeisei.co.jp/works/asbestos.html

引用元:https://www.ttc-web.com/services/p775/

引用元:https://asbestos-nagoya.com/

引用元:https://www.chousabunseki.co.jp/
会社名 環境公害センターコスモ環境衛生コンサルタント東海技術センター太平産業アスベスト調査分析
特徴約50年にわたり、分析・測定・調査によって社会問題解決に取り組んでいる。自然環境問題以外にも、社会環境問題などに取り組み、環境リスク低減に貢献。「環境」「製品開発・品質」「土木・建築」の3つの分野のサービスに対応した、東海地域を中心に環境保全や製品品質管理をおこなう中核機関。ISO/IEC17025試験所認定分析室と連携し、スピーディーなアスベスト調査を実現。最新の機器を使用した検体分析だけではなく、JISA1481-1と電子顕微鏡のダブルチェックでアスベストを見逃さない検査を実施。
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