工作物石綿事前調査者とは?取得のために必要な講習についても解説

公開日:2025/02/17
工作物石綿事前調査者とは?取得のために必要な講習についても解説

石綿は多くの分野で活用されてきましたが、人体に有害なことが判明したため、2006年の9月から使用が禁止されています。しかし、それ以前に作られた工作物は危険な成分である石綿を使用している可能性が高く、改修や解体といった作業で出てくる危険があるのです。工作物の石綿を工事前に調べるには、専門の資格が必要になります。建築物石綿資材調査者とは調査する対象が違うため、間違えないよう注意しましょう。今回は、工作物石綿事前調査者の基本情報・講習に必要な条件・受講できる場所について解説します。ぜひ参考にしてください。

工作物石綿事前調査者とは

工作物石綿事前調査者とは、健康に影響する石綿の成分を、工事前に調べる資格のことです。指定された講習を受けて、テストに合格すれば認定されます。

令和5年10月から、建築物を工事する前に、石綿を調べて結果を報告する工程が義務になりました。建築物石綿資材調査者を取得した人がそれぞれの事業場で選任し、調査するのです。建築物とは建築基準法によって定義されており、屋根のほかに柱か壁があるものを指します。

このほか、工作物というものがありますが明確な定義はありません。土地に定着した人工物は工作物として扱います。

工作物に関しても、石綿の成分が含まれているものは、資格を持っている人が調べる必要があるのです。今後は、改修工事や解体前に調べる工程が必須になります。工作物の石綿を調べるには、工作物石綿事前調査者という資格がないとできません

今後改修・解体作業に関わる従業員には重要な資格といえます。

適用される時期と背景

令和8年1月1日から、工作物として扱われる建材の石綿成分を調べる場合は、資格を持つ人が実施すると決められています。厚生労働省の報告書をベースに決定しました。

定められた理由の1つは、工作物の老朽化による解体作業の増加と健康被害の懸念です。石綿はアスベストとも呼ばれ建築資材のほか、自動車や電化製品家庭用品など多くの分野で活躍してきました

しかし、石綿を吸い込むと肺がんや中皮腫のリスクが高まることが判明し、使用が禁止されたのです。

そのため、古くなった建築物を解体するとき、周囲に有害な物質が拡散する可能性があり、専門知識を持つ担当者が調べる工程が必要なのです。

石綿の飛散は危険なため、従業員の健康を守る重要な調査といえるでしょう。

調査対象となる工作物

石綿調査の対象となる建材は特定工作物と呼ばれ、石綿則第4条の2第1項第3号の規定によって詳細が決められています。

たとえば、反応炉や加熱炉、ボイラー及び圧力容器のほか、変電設備や焼却設備、配電設備なども石綿を含んでいる可能性があるため、特定工作物です。

トンネルに使われる天井の板や遮音壁、軽量盛土保護パネルやプラットフォームの上家なども該当します。送電設備は付属のケーブルまでが特定工作物の対象です。

また、一部の設備を除いて定められている特定工作物もあります。配管関係の設備や貯蔵設備のほか、発電設備などです。

配管設備は建築物に設置する給水設備や排水設備、換気や排煙設備のほか暖房・冷房設備を除きます。貯蔵設備の場合、穀物を貯蔵する目的の設備は特定工作物として扱いません。発電設備では、太陽光発電や風力発電の設備を除きます。

特定工作物は、危険な石綿の成分を含んでいる工作物です。中には、対象から除外される設備もあるため、注意しましょう。

特定工作物に該当しなくても、調査が必要になる場合があります。塗料やモルタルなど、石綿の成分があると考えられる場合も除去作業前に調べる工程が必要になります。

工作物石綿事前調査者を取得した人が調査できる工作物は、石綿則によって決められており、特定工作物と呼ばれ多くの設備が該当します。

老朽化により工事数は増えると予想されており、調査は義務になるため、資格者の確保や選任する準備が必要です

書類の保存義務

事業者にも義務があります。工作物の石綿に関する事前調査を実施した人の資料を一定期間保存するのです。

事前調査を担当した人の氏名と、調査を実施する要件を満たしていると証明できる書類の写しが保存資料に該当します。

工作物石綿事前調査者の講習

講習を受けるには、満たすべき条件があります。

人によって必要な条件が大きく変わるため、注意が必要です。

また、受講後にテストがあり、一定の点数を取る必要があります。

工作物の石綿を調査する資格は、条件を満たした人が講習を受け、テストに合格すると修了証が取得できるのです。

受講するために必要な条件

工作物石綿事前調査者講習は、定められた条件を満たさないと受けられません。満たす条件は学歴と経験によって大きく変動します。

石綿作業主任者技能講習を修了している人、産業安全専門官や労働衛生専門官に該当する人は受講可能です。

大学で建築のカリキュラムを修了しているなら、卒業した後2年以上の実務経験が必須になります。

3年課程の短期大学で建築関係のカリキュラムを修了しているなら実務経験は3年以上、短期大学や専門学校なら4年以上の実務による経験が必要です。

中学校や高校で建築関係の授業を受けており修了しているなら、7年以上の実務経験があれば受講できます。

また、建築行政で実務経験が2年以上の人も受講可能です。石綿の飛散防止に関係する環境行政で2年以上の実務経験がある場合も受講できます

建築関係の学歴や経験がない場合は、実務経験を11年以上積む必要があるのです。

このように、人によって受講するための条件が変動します。事前に確認するといいでしょう。

講座内容と受講後の試験

講習は、厚生労働省が策定した内容をベースに11時間のカリキュラムで構成されており、2日間必要になります。

1日目は、工作物石綿含有建材調査の基本知識を2時間、石綿含有建材の建築図面調査の講習を4時間実施します。

2日目は現場調査の実際と留意点を4時間、工作物石綿含有建材調査報告書の作成について1時間講習します。

カリキュラムを受けたら筆記試験が始まります。一定の成績を修めれば資格が取得可能です。

講習は11時間必要なため。2日必要になります。2日目の終盤にテストを実施するため、受講の間にある休み時間を活用するといいでしょう。

機関によっては、再試験できる機関もあります。

講習が受講できる場所

工作物石綿事前調査者は特定の機関で講習を受けてテストに合格する必要があります。

登録機関もエリアが限定されてる場合や、複数の県が対象のところがあり、受講する前に調べる必要があるでしょう。全国が対象の機関もあります。

受講料金はテキスト代を含んで表示されるところが多いようです。

また、機関によってもサポートが変わります。再試験できる機関もあるため、公式サイトをチェックしておくといいでしょう。

令和7年2月26日の時点では、26機関で受講可能です。

まとめ

工作物石綿事前調査者とは、作業の前に工作物の材料に石綿が含まれているのか調べる有資格者を指します。令和8年1月1日から義務になる予定です。講習を受けた後テストに合格すれば資格が取得できます。令和5年10月から義務になった建築物に関する石綿事前調査では、建築物石綿事前調査者が対応します。建築物と工作物で対応する資格が異なるため、注意しましょう。調査の対象となる建材は特定工作物と呼ばれ、反応炉や加熱炉のほか、トンネルに使われる天井などが当てはまります。そのほか、石綿成分があり、周りに拡散する可能性がある塗料やモルタルも対象です。また、受講する機関も重要になります。建築物石綿含有建材調査者講習の登録機関を参考に調べておきましょう。全国を対象に講座を開催している機関を選べば、手間が省けます。また、受講金額のほか、サポート体制も重要です。機関によっては、再試験できるところもあります。令和7年2月26日の時点では、26機関で受講可能です。これから受ける人が増えると予想されるため、興味がある人は早めに申し込むといいでしょう。

 

愛知県のアスベスト調査・分析業者比較表

イメージ
引用元:https://kankyoukougai.jp/description/asbestos/

引用元:http://www.cosmokankyoeisei.co.jp/works/asbestos.html

引用元:https://www.ttc-web.com/services/p775/

引用元:https://asbestos-nagoya.com/

引用元:https://www.chousabunseki.co.jp/
会社名 環境公害センターコスモ環境衛生コンサルタント東海技術センター太平産業アスベスト調査分析
特徴約50年にわたり、分析・測定・調査によって社会問題解決に取り組んでいる。自然環境問題以外にも、社会環境問題などに取り組み、環境リスク低減に貢献。「環境」「製品開発・品質」「土木・建築」の3つの分野のサービスに対応した、東海地域を中心に環境保全や製品品質管理をおこなう中核機関。ISO/IEC17025試験所認定分析室と連携し、スピーディーなアスベスト調査を実現。最新の機器を使用した検体分析だけではなく、JISA1481-1と電子顕微鏡のダブルチェックでアスベストを見逃さない検査を実施。
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